クスノキ(楠、樟)

日本(暖地)、韓国、台湾、中国南部からベトナムに分布する常緑性の高木です。
とても寿命の長い樹木で千年以上にもなる樹齢から、クスノキは神聖な縁起のいい木とされています。
神社仏閣の御神木や天然記念物にも指定されて、樹齢数百年を超えるクスノキは多く存在しています。
国内で知られている最大は樹高30m、幹周り20mの驚くような巨木です。
巨木なクスノキは九州、四国など温暖な地域に多く見られます。
日本の巨木ランキングでは、国の特別天然記念物に指定されている蒲生の大樟 (鹿児島県) や
加茂の大楠 (徳島県) があります。
明治時代から各地でさかんに植栽されたため、本来の自生地は明らかにされていませんが、
日本には東アジア大陸から帰化した可能性があります。

樹皮は縦に裂け目が入り、葉は細長い卵形で縦方向に3本の葉脈があります。
葉を刻むと独特の香りがします。
初夏に咲く黄白色の花や、秋に熟す黒い実は地味なので観賞価値はありませんが、
新緑の頃、光沢のある明るいグリーンの新緑がとても美しく印象的です。
一枚の葉の寿命は約1年で、新芽が出る初夏にかなりの量が落葉します。

クスノキによって新芽は赤みがかるものと青みがかるものがあります。
それぞれ「赤樟」「青樟」などと呼んで区別することもあります。

葉や幹、根皮からも樟脳(ショウノウ)の原料が採れますが、現在、樟脳は化学合成で
生成できるため、原料採取するためにクスノキを植えることはしません。
樟脳は独特の香りがあり、一般的に衣類の防虫剤としてよく知られています。
薬品としても利用されており、「カンフル」は樟脳のことです。

現在は街路樹や学校の庭に植えるなど、公共緑化としての利用が多いです。
生長が早くて巨木になるため庭木としては不向きで、都市部の一般住宅の庭木としてはほとんど見かけることはありません。
大気汚染に強く、病害虫の耐性もあり、日本の気候(暖地)に適した樹木です。
建築材や家具材としては利用が多く、古い時代の仏像にはクスノキ材のものが多く見つかっています。

名前の由来は、「樟脳」のアラビア名に由来します。
クスノキの語源は色々とありますが、「奇しき木」「薬の木」「臭し木」などからクスノキになった説があります。

普段は作業する必要はありませんが、放任すると育ちすぎるので毎年剪定しましょう。
剪定作業の適期は、芽を出す前2月~3月。
剪定に特に強い樹なので、強剪定しても問題ありません。
また、枝の間引き剪定も同時に行います。

日当たり、水はけのよい乾燥気味の環境を好みます。
土壌は特にこだわりません。
肥料も特に必要ありません。
やせ地でも育つくらい丈夫な樹木です。
害虫の発生はほとんどなく、まさにクスノキが優れている点です。
一般的な庭で植栽する場合は剪定作業には強いですが、成長が特に早く、大きさや樹形を維持するのが相当に困難です。
また、鉢植えにもまったく向きません。
大きく育てることで魅力を発揮する樹木であることを考慮して、地植えは敷地に十分な余裕がある場合に限った方がよいでしょう。
広い敷地など会社や事業所、公共の場所などにシンボルツリーとして、木陰を作る緑陰樹としてエントランスに植栽されるのもよいでしょう。

今年は、どこの神社でクスノキを探してみようかしら?

クスノキ(楠、樟)
クスノキ(楠、樟)
クスノキ(楠、樟)
クスノキ(楠、樟)
クスノキ(楠、樟)
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蒲生の大樟

蒲生の大樟

加茂の大楠

加茂の大楠